第二章ユレイラント連合帝国

 

714年、王女は死去した。ユレイラントによるリート王国への侵攻が始まった。兵士の数はおよそ2万人。

僕は王女の死で絶望していた。自ら最前線での戦いを志願した。
私を一人にしないでと、母さんは必死に止めた。しかし、それでも決心していた。王女のいる天へ向かうことは怖くなかった。

防衛ラインは、郊外の砂漠地帯だった。僕は枯れ木の上で笛を吹いた。リートの童謡が乾いた風に乗る。

この歌と僕の決意は、王女に届くのであろうか。

 

7月開戦。

戦いは、激戦となった。ユレイラントは、統合した地区の兵士を多く最前線に抜擢した。よって、魔道を用いた戦いにならないことはリート王国にとって幸運かに思われた。しかし、泥沼化した戦場はいっそう血に染まった。
この状況を打破するべく、僕を含む前線精鋭班は作戦をたてる。激しい山道を越え、本部を直接奇襲する。
予想どおり、山道を超える段階で何人もの死者が出た。山道と言っても、本来人間が越えられる山ではない。たどり着けたのは半数のみだった。

 

多くは途中で死んだ。僕もその一人だ。
正しくは、僕は死んだことにされた一人なのだが。

 

僕は道中、茂みの中に王女を見た。それはまぎれもなく王女だった。心臓が止まるかと思った。必死で追いかけた。どんどん山から下る形になったが追いかけた。最後には小屋に行きついた。中を探しても王女はいなかった。そして、隊に戻ることはできなくなった。離れすぎてしまったのだ。


王女を追いかけてる時は、まさに現実から離れすぎてしまった感覚だった。

結果、精鋭班の作戦は失敗した。精鋭班は、白いローブをまとったユレイラントたった一人にやられたようだ。炎の魔道を用いて全てを焼き払った彼女は、やはり、僕の知る白いローブの使者だったのだろうか。その答えを知るすべもなく、8月、リート王国は「ユレイラント連合帝国」に統合された。

僕は部下を守れなかった。国民を守れなかった。自分のことしか考えず、王国騎士とは名ばかりだった。

一人帰る。でもどこに帰る。街は燃え、兵士の死体がわんさと積まれていた。

 

彼らにもう名前はない。完全に敗北したこの国では、英霊として祭られることもない。逃げ遅れた国民の表情は、無念よりも虚無で、今にも僕を殺しそうなおびえた死顔だった。

 

僕は倒れこんだ。

「ユメが守りたかった国民を、こんな表情で死なせてしまった。」

 

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